広告を取り巻く法律は厳しくなる一方です。
中でも特に厳しいと言われるのが「薬機法」。
様々な規制の中、各業者はなんとか製品の魅力を伝えようと法律に抵触しないギリギリでの広告表現を模索しています。そしてそれはいつの間にか「薬機法チャレンジ」として揶揄されてしまうようにまでなってしまいました。
今回、下記のような記事がライターたちの間で話題となっていましたので、少し薬機法についてお話したいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb211cc020bb5b6d693ba281a185e9ed0bd949bf
そもそも薬機法とは?
薬機法とは、正式名を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質と有効性及び安全性を確保するために、製造、表示、販売、流通、広告などについて細かく定めたものです。
かつては薬事法と呼ばれていましたが、2014年11月25日薬事法が改正され法律名も変更になりました。
中でも「第十章 医薬品等の広告」には広告に関する条項がまとめられています。
薬機法は医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品となっていますが、これに含まれないサプリメントなどが医薬品と思われる誤用表現をされることなども禁じられています。
つまり、医薬品等を製造、販売、広告する際だけでなく、これに該当すると思われる周辺商品の製造、販売、広告には、必ずかかわってくる法律なのです。
薬機法基本の「き」を抑えるために
薬機法を理解するためにはそもそも医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の定義を理解することが基本です。
というのも薬機法は基本的にはそれぞれの定義によって表現できる範囲が決まっているのです。また、逆にいえばその定義に当てはまらないのにも関わらず、事実誤認をさせるような表現もできません。
つまり、医薬品でもないのに医薬品と誤認させるようなサプリメントなどはNGですね。
では定義とは具体的にどのようなものなのでしょうか。具体的にそれぞれの定義を一部見てみましょう。
医薬品の定義
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、 一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
薬機法 2条一項より引用
医薬部外品の定義
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
薬機法 2条二項より引用
化粧品の定義
人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
薬機法 2条三項より引用
医療機器の定義
人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
薬機法 2条四項より引用
上記に該当するものでない場合は、サプリメントは食品ですし、化粧品は雑貨です。決して医薬品のような効果効能は謳ってはなりません。
違反するとどうなるの?
薬機法は法律です。法律違反すれば罰則があります。
薬機法違反とりわけ広告規制違反の罰則は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこの両方が科せられる、となっています。
そしてこれは販売業者だけではありません。
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
薬機法 十章六十六条一項より引用
薬機法の条文にあるように「何人も」記述し、流布してはならないのです。
つまりライターやアフィリエイター、インフルエンサーなども当然その対象です。
実際に2021年3月17日に大阪府警が薬機法違反の疑いでアフィリエイターを書類送検しました。
https://netshop.impress.co.jp/node/8604
認識がなかった、広告主の責任、ではもはや済まされないのです。
法律は守りましょ。難しい時にはプロにお任せ。
薬機法についてさわりだけを少しお話ししました。
実際に広告の具体例をあげていくとものすごく細かいため、具体的なことは薬事法ドットコムさんなどをみていただければものすごく丁寧に説明してくださっています。
「こんなに厳しくなくちゃいけないの?」「もう何も書けないじゃん!」と憤る気持ちはわかります。冒頭記事に貼ったようにもはやゲーム感覚で「薬機法チャレンジ」とでも銘打たなければやっていられない気持ちは察するところがあります。
ただし、前提をもう一度思い出すべきです。
薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の品質・有効性および安全性を確保することを目的とした法律です。
つまりいい加減に効能を謳ったり、詐欺的とも言える広告が横行していたために生じた消費者の不利益を守るものであり、厳しいとはいえ消費者目線からすると至極真っ当なものなのです。
「※個人の感想です」さえ書いてあればなんでもありだったことを思えば、それも当然ですよね。
ちなみに私は薬機法に対応しておりません(笑)うっかり手を出して薬機法に抵触しないために薬機法自体は勉強しますが、ライターにも得て不得手がございまして……
軽い気持ちで宣伝し、依頼主にも購入してくださる消費者にもご迷惑をおかけしないことはライターとしての正しさであり誠実さであると思っています。
もしこの記事をご覧になり、薬機法のご相談がございましたら、信頼できる専門家にお繋ぎしております。
\\最後までお読みいただきありがとうございます//
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