ブスのマーケティング戦略
今回ご紹介する本は「ブスのマーケティング戦略」田村麻美 (著)です。
本書の内容は、税理士である著者のエッセイであり、まじめなマーケティング理論&行動提案が組み合わさった一冊になっています。
ルッキズム差別が叫ばれるこのご時世、お笑い芸人さえ容姿ネタを封印するこのご時世にブスを全面に押し出したタイトルと表紙画。書店で見たときには度肝を抜かれました。
しかも本の著者はお堅く、細かそうな税理士の先生。
一体どのような本なのか興味しか湧きませんでした。
さらに、本書の写真にもあるプリヘッド(キャッチコピーやタイトルの前にある文章)の秀逸さにまずは目に留めてほしいと思います。
”夢見ることを
〜ブスのマーケティング戦略 タイトル帯より〜
あきらめたブスと、
劣化が始まった美人へ”
ブスという強いキーワードを用いつつ、美人をも取り込む広いターゲットへの問いかけ。
美醜の定義は難しく、ブスか美人かは本人の自覚によるものでしかありません。しかし、ブスというパワーワードを用いることで取りこぼしてしまう層もしっかりとキャッチする「劣化した美人」というパワーワードを加えることで、取りこぼしなくターゲットを拾う一文は秀逸としかいえません。
ここからは少し内容についてもご紹介したいと思います。
忘れてはならない、本書はマーケティング本である
本書はあくまでマーケティング本です。
そのため、いわゆるマーケティング用語や分析もしっかり解説されています。
自分を商品として捉えたプロダクト解析や周囲の美人や外見至上主義というトレンド、商品には売り切らなければならない消費期限があるという制約条件など、あらゆることを網羅しているのです。
まずは、幼少期「ブス」であることのハンデをどのように乗り越えるか考えた著者はセグメンテーション(細分化)の中でのポジショニングを明確にするため「ガリ勉」というポジションを選択。
しかし時が経ち、おおよその偏差値で集約される高校生活というマーケット(市場)では、競合比較によるポジショニングが不明瞭になったためすぐにポジショニングの変更を行うという柔軟さを見せます。
そして、明確なゴールを設定します。
”20歳までに初体験”
〜ブスのマーケティング戦略本文より〜
そしてさらに研ぎ澄まされる3C分析。
合コンという市場に身を放ち、トライ&エラーを繰り返しつつPDCAを繰り返す姿は、商品を市場に送り放ったことがあるビジネスマンであれば誰しもが共感するのではないでしょうか。
そしてこのトライする姿そのものは、下手な自己啓発本よりも行動力の大切さ、行動しないものの愚かさを物語っており、読むものに大きな力を与えてくれます。
そう言った意味では、私は本書はマーケティング実用本であり、著者のエッセイであり、自己啓発本であると考えています。
マーケティング初心者、これからマーケティングを学ぶ人にぴったり
本書を手に取って笑いながら読んでいた私ですが、何も蔑んでいるわけではありません。
なぜなら残念ながら私もまごうことなきブスだからです。
ルッキズムがどんなに糾弾されようと、美醜による差別はどこにでもあります。
そしてそれをブス自身は敏感に感じ取り、その中でどのように生きていくか常に考え、現実逃避しつつ進んでいるのです。
世間には「美人は3日で飽きる、ブスは3日で慣れる」という慰めの言葉もありますが、ブスには3日目はきません。3日どころか2日目が来ないのですから。いやもしかしたら1日目さえこない・・・
すみません、話が逸れて邪念が出てしまいました。
話を戻すと、本書はマーケティング本としては異色の読みやすさがあります。
マーケティング本といえば、やたら横文字を使って難しく書いていたり、はたまた海外の翻訳本のため日本の実情とは少し前提が違うことがあることが多く、初心者には混乱してしまいかねないものも多くあります。
しかし、本書はコンプレックスを元にご自身を商品としたマーケティングをわかりやすく語っています。加えて、非常に身近で力強い著者の奮闘記には、成功者のどやどや全面の押し付けがましさも感じません。
実際には難易度の高い国家資格保持者であり、会社経営者でもある成功者のお一人ではあるのですが、お人柄の良さから自己啓発本としても反発を感じさせない内容になっています。
これからマーケティングを学ぶ方、マーケティングを難しく考えすぎている方にぜひ手に取ってほしい一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございます
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